作家として活躍する卒業生インタビュー

interview 05

飯田 桜子
吹きガラス作家
飯田 桜子
2014年 学部 ガラス卒業

文化に貢献し
工芸という業を伝え残していきたい

作家活動のきっかけと、作家として活動してみての感想を教えてください。

大学卒業後吹きガラス工房で働きながら夢中で練習するにつれ、教わったものをアウトプットしていきたいと思うようになりました。出会った人達に感化され自分も作家の道に踏み込み、活動を始めて5年目になりますが、毎回学ぶことばかりです。会場が変わるごとに客層やニーズ、作品の選び方、見せ方も変わり、時間をかけてその最善を見つけていくことが大事だと実感しています。吹きガラスは制作コストがかかるため、価格の付け方や制作の効率化など考えなくてはいけないことも多く、試行錯誤の毎日です。

作品
作品

実際に取り組まれたお仕事と現在の主な活動内容を教えてください。

ギャラリーや百貨店での発表をベースに、個展とグループ展を年に数回行っています。注文制作の仕事もあり、新たな観点でガラスと対峙することができる貴重な機会です。また吹きガラスの制作アシスタントの仕事もしています。色々な方の制作に関わることができ、学びも多くやりがいのある仕事です。海外のアーティストインレジデンスというプログラムにも参加しています。

工芸専攻を選択し、今に至った経緯を教えてください。

ガラスを選んで工芸に出会いました。ガラスに興味を持ったきっかけは、高校一年生の時に教育実習の先生がクラスメイト全員にプレゼントしてくれたフュージングのガラスピースが素敵だったことでした。小さなカケラの中に現れたガラスの多様な表現に驚き、ガラスを学びたいと思うようになりました。思えば幼い頃から人が作業をしているところを見ることが好きで、よく建設現場を覗きに行っていました。ものが出来上がっていく工程に興味があり、吹きガラスに出会って熔けているガラスを初めて見た時、その面白さと複雑さに好奇心がさらに高まりました。

作品
作品

学生生活のなかでのターニングポイントを教えてください。

吹きガラスのデモンストレーションでは、先生が熔解ガラスを操っていく様子に毎回釘付けになっていました。実際にやってみると思うように行かなくて、技術を習得したいという目標を持つようになりました。また、新島国際アートフェスティバルの参加では、海外で活躍されているアーティストの制作を実際に見ることができ、海外のガラスシーンにも興味を持つようになりました。その活動に憧れ語学の必要性を感じ、大学卒業後の語学留学を決めました。

女子美で学んだことが、どのように活きていますか。

1年次で染、織、刺繍、陶、ガラスの5分野に触れたことで、工芸という文化が日本の芸術の礎だと知りました。特に海外で発表する際、素材×コンセプト×アイデンティティはとても重要になります。自分のアイデンティティを考え、制作の上で大切にしたいと思うようになりました。一昨年、同世代のガラス作家たちと制作チームを作りました。その活動をSNSやデモンストレーションなどで発信していきたいと思っています。Instagramのアカウント(glass90’s)をご覧ください。吹きガラスのリアルな制作現場の様子を伝えていきたいと思っています。

※2023年時点のインタビューです。