5分野を学んでから選択できる
工芸専攻のカリキュラム
5つの素材の性質を学ぶ
1年次
染、織、刺繍、陶、ガラス。5分野の素材に触れながらその特徴を理解することから始めます。色彩、形態、質感といった、素材の性質を活かし表現する術を身につけます。
工芸基礎造形
工芸基礎造形・デッサン
静物や自画像のデッサンなど有機物のフォルムをよく観察し描くことで、それらの構造の中にある美しさ、面白さを発見し、表現する力を身につけます。
工芸基礎造形
工芸基礎造形・立体
物の見方や考え方を訓練し、描写力や立体を把握する能力、造形力を身につけます。独自の形態を想像し、平面と立体で表現することを学びます。
染
パターン・染色基礎実習
ブロックプリントとステンシル染を通してパターン表現の基礎を学びます。四方連続模様による型染めと天然顔料の色彩を活かして制作を行います。
織
織物実習・素材演習
糸の染色を学び、本格的な織機を使って質感のある布を制作します。また果物や野菜などの特徴を観察して、繊維素材を用いた立体作品を制作します。
刺繍
基礎技法
伝統的な日本刺繍の基礎技法とマシン刺繍の基礎テクニックを学び、応用作品として、日本刺繡かマシン刺繡いずれかを選択し小作品を作ります。
陶
陶造形
陶の素材である粘土と釉を組み合わせアートピースを制作し、焼き上がりの特徴を理解します。その後、造形の展開を試みます。
ガラス
キルンキャスト
水粘土で造形した形から石膏で型を取り、ガラスを鋳造するキルンキャスト技法で作品を制作します。土からガラスに置き換えることで素材の特徴を学びます。
CG演習・写真演習
CG演習・写真演習
コンピューターの基礎知識とグラフィックソフトの基本操作を習得します。デジタル撮影演習を通して、各素材に応じた撮影方法と技術を身に付けます。
選択実技A・B
選択実技A・B
ヴィジュアルデザイン、プロダクトデザイン、環境デザイン、工芸の各専攻から課題を選択し、実技体験を通して基礎力の向上と創作の幅を広げます。
2コースに分かれ基礎を学ぶ
2年次前期
テキスタイル(染・織・刺繍)コースでは伝統技法を習得し、陶・ ガラスコースでは、土やガラスの造形の基礎と応用を学びます。各コースの基礎知識と技術を深めます。
テキスタイル(染・織・刺繍)
染
絞り染め
絞り染めは“染”の原点と言える技法です。縫い絞り染めを学び、自由で力強い構成力を養い、素材と技法による表現の特徴を理解し、基礎力を身につけます。
織
平織変化組織
糸でストライプをデザインし、織りの工程を本格的に学びます。色糸の交差による深みのある色彩、糸の浮き沈みによる凹凸や素材感などを習得します。
刺繍
パネル刺繍
平面構成を刺繡デザインへと展開したパネルを制作します。日本刺繡と欧風刺繍の応用ステッチを習得し、糸と箔の立体感の異なる表現も学びます。
陶・ガラス
陶
陶造形の基本と応用
陶の基礎を学びます。伝統的作品から現代的作品までの内容を盛り込んだ課題を通して、陶造形の基礎となる表現に取り組みます。
ガラス
バーナーワーク
棒状のガラスをガスバーナーで熔かし成形する技法です。熱で変化していくガラスの可塑性を学び、小さな玉の中にオリジナルの表現を探求します。
自分に合った専門分野を選択
2年次後期
「染」「織」「刺繍」「陶」「ガラス」の5分野に分かれ、さらに専門性を高めます。また、伝統的な技術を現代の創作に活かす術も模索していきます。
染
型紙防染
型染めは技術的な制約から生まれる簡潔な図柄表現に特徴があります。模様を繰り返すことで生まれるリズム、布の中に生まれる空間を活かした表現を学びます。
織
タピストリー制作
色鉛筆ドローイングで自画像を描き、それを綴れ織で表現します。織りによる形の表し方、色糸の混色、素材の特質を捉えたテクスチャーなどを学びます。
刺繍
刺繡半衿
伝統模様について学び、その模様に込められた意味を理解し「半衿」を制作します。使用するだけでなく展示も考慮したデザイン配置を学びます。
陶
石膏型実習
石膏型を作り、それに<ruby>泥漿<rt>でいしょう</rt></ruby>を流し込み成形する技法を学びます。石膏や泥漿の基礎、この技法に適した施釉・焼成方法を学びます。
ガラス
キルンキャスト
キルンワークの基礎的な技法を学び、各自の制作意図に基づいた個性的な作品を実現するための技術を習得していきます。
専門性を追求する
3年次
時間をかけて知識と技術を積み重ね、ひとつの分野でより深い創作を実践。作家、デザイナーとしての意識を高め、4年次の卒業制作に向けて、自己表現の術を確立していきます。
染
スクリーン捺染
写真製版法による手捺染の染色技法を習得します。手作業とデジタルツールを用いた手法と表現の特徴を学び自由な発想力とデザイン構成力を鍛えます。
織
経緯絣
糸を部分的に括り「防染と染色」を繰り返して模様を作る絣技法を学びます。色相・明度・彩度のコントラストを活かした多色の模様に取り組みます。
刺繍
刺繍名古屋帯
和装の帯について学び、各々着装者や場面を想定して、モチーフの選び方、色使いを検討し名古屋帯を制作します。本格的な台の張り方、伝統的な道具の使い方も習得します。
陶
制作テーマの探求
学生各自が自分のテーマを見つけるために、作品制作を繰り返し行います。表現内容と制作方法について、多角的に検討し制作テーマを練り上げます。
ガラス
吹きガラス
基本的な動作や道具の使い方を体得しながら着色や加飾の方法を学び、作品テーマに合わせたテクニックを習得しながら表現の幅を広げていきます。
共通
プレゼンテーション演習
グラフィックデザインや撮影の基礎を習得しポートフォリオを制作します。自分の考えを言葉やビジュアルで表現し、他者に伝えるスキルを身につけます。
自己表現の確立を目指す
4年次
社会と接点を持てる力、そして作家として活動していく力を身につけます。多様なものの見方に触れ、自由で新しい表現を展開する術を見いだしていきます。
染
注染
注染は手ぬぐいや浴衣などを染める伝統技法の一つです。授業では、広幅布の注染を制作します。現代の暮らしに寄り添う“注染”を探求します。
織
ジャカード織
絵画的表現や自由な模様を織ることができる高性能な織機で布を制作します。糸の素材感や特徴も活かして、織物として表現することの効果を研究します。
刺繍
技法研究
日本画で制作した絵を基に小作品を制作します。顔料を用いた型染と立体的な表現に適したステッチを用いた制作方法を学びます。
陶
卒業制作試作
今まで積み重ねた技術と経験を基に各自テーマを考え制作に取り組みます。試作の制作を繰り返しながら後期の本制作に臨みます。
ガラス
卒業制作試作
キルンワーク、吹きガラスなど多様な技法を自由に組み合わせ、研究テーマに対しディスカッションを繰り返しながら卒業制作に向けた試作を行います。
社会とのコミュニケーション
卒業制作
社会と接点を持つことのできる作品を生み出すこと、作家として活動していく力を身につけることが目標です。多様なものの見方に触れ、自由で新しい表現を見出していきます。
学外展
染、織、刺繍、陶、ガラスの5分野による卒業・修了制作展を東京青山のスパイラルガーデンにて行います。DM制作から展示に至るまで学生主体で運営しています。
学外展講評会
世界的に活躍されているアーティストの舘鼻則孝先生による特別講評会を、卒業・修了制作学外展(スパイラルガーデン/表参道)で行っています。
学内展
集大成となる制作・研究の成果を3月に学内で展示します。展示空間の構成は学生たちが取り組みます。学内展は卒業を迎える学生全員が参加します。
充実した専門性の高い講義
授業
より幅広い知識と専門性を追求するため、伝統と先端、実習と理論を踏まえた必修授業があります。多様な学びは、新しいアイディアにつながります。
pick up!
材料学A(繊維)
繊維の種類とその性質や特徴、織物やニット、不織布などの布の構造や製造の仕組み、さらに染色や加工技術について学び、繊維製品や作品への活用について考察します。
pick up!
材料学B(陶ガラス)
陶では土と水と火の芸術として、土を知り土を活かすということを学習し、ガラスでは熔融・成形・着色と物理的・光学的特性の関係を学びます。
pick up!
工芸史A(染織)
日本の民族衣装である「きもの」の歴史を振り返り、きものが生み出されてきた背景をたどり、その意匠や染織技法の特長を文化的、視覚的に理解します。
pick up!
工芸史B(陶ガラス)
高温で生まれる陶磁とガラス、その歴史を学び、素材および名品の魅力に気付くことで、現代の工芸への理解へと繋げます。