世界でひとつ! 刺繍

刺繍分野は1900年の女子美開設時から設置され、多くの刺繍教員、作家を輩出してきました。
国内唯一の日本刺繍の専門課程で、世界でも日本刺繍を体系的に学べるのは本学だけです。
伝統的な日本刺繍をベースに、
マシン刺繍、海外の刺繍などを学び、糸とステッチの可能性を見出していきます。

刺繍の卒業制作

刺繍の特徴

\ 刺繍の技術 / 1  120年続く、世界で唯一の日本刺繍を受け継ぐ技術

初代校主、佐藤志津先生のアドバイスで二代目教員松岡冬先生が学生と共に新たなステッチを作り出しました。当初は30種類でしたが、海外の影響を受けたステッチも取り入れ、大正時代の終わりには120種類を超えるものとなりました。この技法は令和の現代まで受け継がれています。「種類縫い」を学ぶことで自らのステッチの幅を広げ、その後の作品制作に役立てていきます。

\ 刺繍の設備 / 2 マシン刺繍

1960年以降、ポップアートの影響を受け欧米では社会への主張を込め自己表現の手段として刺繍が用いられました。ハンドステッチだけでない表現の手段としてマシン刺繍を学びます。

\ 刺繍の歴史 / 3 建学の精神に基づく刺繍教育

明治期、日本刺繍は美術染織品として国内外で流通しており、また全国の女学校においては教養として日本刺繍が教授されており、女子美では教員養成が行われていました。

\ 刺繍の技術 / 4 保存修復

日本刺繍の技術を活用して、染織文化財の保存修復を行っています。2011年の東日本大震災で被災した着物類の塩分除去方法を確立し、専用の機器や手法の開発を行っています。

\ 刺繍の学外活動 / 5 研修旅行

京都の刺繍に携わる企業や工房を訪ねます。刺繍を生業としている様々な業種を見学することで、現在の刺繍を取り巻く環境を体感します。

刺繍の授業

高度な日本刺繍ステッチⅡ

着物や帯等の伝統的なキャンバスに、現代の感覚にもあった刺繍を展開していくにあたり、本学に伝わる「縫い方種類」から応用性の高いステッチを抜粋して学びます。

写実的な刺繍

明治以降、写実的な刺繍は美術工芸品として高く評価されていました。絵画を下敷きにした日本刺繍を絹糸、裂の染色と併せて学び、自らのスケッチを作品にしていきます。

天然染料

日本に古くから伝わる、植物から抽出する染色方法を学びます。手間をかけて染色した色の深さを体感し、媒染による染の仕組みも学びます。各自、1反分の着物地を染めます。

日本画(デッサン)

制作においてモチーフを深く観察することは、様々な意匠への展開を可能にします。デッサンのみならず、描くことを通して、素材や絵画構築方法など、新たな創作を学びます。

繍紋付刺繍訪問着

着物のしきたりを学び、各自の設定にあったモチーフで絵羽模様の訪問着をデザインし制作します。天然染料で染色した生地で、各自仮絵羽も行い、背には刺繍の紋を入れます。

刺繍商品企画

物をつくって展示し販売することは、どのような事でしょう?刺繍を通して、販売できるモノづくりをプロの作家の講評を交えて、その制作方法や展開例を学んでいきます。

刺繍の紹介映像

工芸専攻の5分野をもっと知りたい人へ