染 院生作品

長沢 碧

『うららかな春-早春-』(左)
『うららかな春-晩春-』(右)

型染(紅型) | 絹・顔料 | 175×146cm 2点

春の庭の情景を、一枚の型紙を整然と繰り返し印捺する型染の手法で表現しました。庭という囲われたイメージは垣根に置き換え、独自に解釈し直しデザインにすることで、印象的な春の花園が、着物全体を覆い、広がる構図としました。それぞれの花々は図案化したモチーフとして扱い、花園を埋め尽くします。中空を舞う花びらは、新緑とともに春爛漫のキラキラした印象で鮮やかで若々しい表現としました。一枚の型紙のデザインが、着物全体にリピートし、リズム感を与えるように意識しました。作品<早春>では、春先のまだ花が咲きそろう前に抱く、満開の花への期待を表現しました。作品<晩春>では、垣根を効果的に配置することで作品に奥行をだし、色とりどりの花々を思い起こさせる情景を表現しました。

『滝』

型染 | 絹・顔料 | 175×146cm

滝の表現を、型紙を用いてデザインするにあたり、水流の多様さに着目しました。制作には複数の型紙を使用することで、水の流れ落ちる複雑さや滝の中から浮き上がるように見える光を表現しました。型紙を単純にリピートすることから離れ、自由に型紙を駆使し展開することで、新しい型紙によるデザイン造形を追求しました。 私は着物を中心とした新しい型染めのデザインの可能性を追求し、染色造形及び創造を行い、自己表現の確立を目指したいと考えています。