刺繍 院生作品

岩田 泰子

『また明日』

マシン刺繍・手刺繍 | 綿布・麻布・綿糸・ポリエステル糸・絹糸・麻糸 | 72.8×2×51.5cm 6点

私の制作のテーマはくすっと笑えて、ほっと癒される日常生活で楽しめて、親しみが感じる作品を作ることである。見た時にくすっと笑えて、ほっと癒されるような、刺繍の技法に見立ての表現方法を取り入れた作品制作に力を入れてきた。刺繍とは、布に針と糸を使って装飾を施す技法であり、昔からあらゆる国の暮らしの中で使われてきた人間にとって身近な手法だ。私にとって、刺繍の縫う作業は、創り出すものに刻み込むように思いを込めることができる、あたたかみや静かな力強さを表現できる方法である。見立てとは、ある事物とほかの事物の共通点を連想しなぞらえる方法で、日本では浮世絵や、子どものおままごとなどで使われ、時代、年齢に関係なく親しみおもしろみを感じさせることのできる表現方法である。修了制作では、カレンダーの基本的な形や機能をベースにして、カレンダーをめくる動作を新しい毎日を楽しみにする動作として考え、めくること、明日を迎えることが楽しみになるカレンダーを制作した。めくることが楽しみになる工夫として、カレンダーをつまむ手の形を、他の動作をしている手に見立てた刺繍の図柄にしている。鑑賞者が日常に潜んでいる見立ての楽しさや、いつもと違う視点で物事を捉えるおもしろさに気付いて楽しみ、和むことができる作品を目指した。これからも、親しみや、あたたかみをキーワードに、刺繍を用いた作品制作で、自分らしい表現を追求していきたいと考えている。