ガラス 院生作品

姜 懿倬

『がらすの血肉』

鋳造 | ガラス | 上)36×14×12cm 他11点  左下)17.5×21.5×41cm 他1点  右下)21×22×21cm 他3点

私は論理的思考を持ち合わせた作品制作を望んでいた。ガラスというまだまだ新しい表情をひめている素材に問いかけ、そして素材にも問いかけられながら、自分の表現を広げている。日常生活にも登場するガラスだが、敏感かつ繊細な素材でもある。温度差に弱い、脈理が出る、形に癖がある、泡が残る、脆い。いずれも製品的に「欠陥」と呼ばれる性質だ。でも「人が使うもの」の前堤から抜け出せば、ガラスは元素として反応を引き起こし、まるで自分の意思を持ったかのように不思議な現象を見せてくれる。私はそのような意味をなくす、評価基準もなくした自由な動きが好きだ。私の研究は、パッキング・ガラス(packing glass):ガラスを工業製品であるものでパッキングし、ともに焼成する。工業製品の内側に潜り込むことを工業製品の腹を借りることにみなし、ガラスを成長させ、固有の形からの脱却を観察する。生物発生原則では「個体発生は系統発生の繰り返し」と言う。生命の根源には何か簡潔で力強く、生物の根底に横たわる「原型」に近いものがあると思っていて、惹かれている。生命の発生と同列のルールでガラスの造形を作りたい。そしてガラスが違う個体になっていく過程の中でこそ観察できる揺るぎない「原型」を探していた。
まぶたを閉じたとき、陽の光が赤く見えたように、ガラスも固まった沫が血肉となり、陽の光を透かして見えてくる。