ガラス 院生作品

黄 美眞

『あふれる』

宙吹き・サンドブラスト | ガラス | 36×14×12cm

私は、目には見えない「感情」をテーマにして制作をしている。人は、感情をなんらかの形で表し続けて生きていると思っている。その表し方には、身体、顔の表情、言葉など様々な方法がある。しかし、自分が満足するほど感情を表すことが出来ない時がある。我慢して表現できなかった感情は、自分の心の中であふれているような気がする。あふれ続けている。私は、そんな「あふれる感情」の様子をガラスという素材で表現することにした。ガラスには、透明や半透明、不透明、反射や屈折などの現象がある。人は、自分の感情を他人に全部見せようとしても不透明のように中身が見えなかったりする。また、何らかの影響による反射、屈折して本当の感情を見ることができない時がある。このような感情の見え方を表現するのにガラスはふさわしい素材だと思う。形は、私たちの身近にある瓶(bottle)の形を選んだ。その理由は二つある。一つ目は、Bottleには様々な形があって人間の身体のラインが様々であるのと同じだと感じたからである。二つ目は、瓶から感じた意味として、入れる、出す、保管などの機能である。その瓶の中に入れたい、出したい、捨てたい、保管したい自分の感情を入れることにした。入れ込んだ全部の感情は他人に見せたい部分もあれば見せたくない部分もあると言う意味で、不透明の色(黒)の動きがある形で部分的に隠す表現をした。感情を入れたけれど、外に出すことができず我慢して自分の中であふれる時がある。瓶の横からその感情があふれている。それは色が無く透明であり、形はあるがみえないものでもあるからである。この作品を見るとき、その中身はみる角度によって変化する。人の感情のように全部はみえないが、動いて生きている。感情の形は様々であり、見えるとき、見えないとき、あふれるときがある。作品が発する空気は動き続けている。今もあふれている。その現象は、見る人によって違っても、同じ空気と感情の溢れる様子が伝わることを願っている。